学力研の合同例会が、6月18日(土)の午前中にあります。(午後からは6月セミナー。)
報告12分+質疑3分で、参加者がレポート発表していきます。
今回、私が発表するのは、「授業実践を文章化する方法」です。
私が大学生の頃、向山洋一氏が教育技術の法則化運動を立ち上げました。
最初に参加したのが、新潟の第2回法則化合宿です。
参加資格として、法則化論文を3本以上書いていかなくてはいけませんでした。
授業実践を発問・指示・指導上の留意事項などを入れて、追試できる形の文章にすることが要求されたのです。
日本中の先生方が持つ教育実践(教育技術)を共有化するための試みです。
現代は、教育技術法則化運動の流れを受けて、教育雑誌や教育書に載る実践も追試しやすい形で書かれるようになっています。
今の時代に法則化論文を書いても、それほど注目されることはないでしょう。
そこで今回提案するのが、鈴木健二氏の『必ず成功する!新展開の道徳授業』(日本標準)の構成をそっくり真似して、授業実践を文章化する方法です。
1つの実践がB4裏表1枚で文章化できます。
授業にのぞむ時、その1枚だけを持ち込めばいいわけです。
(2016.5.4)
B4裏表の裏面は、授業プランになります。
授業記録ではなく、授業プランです。
実際にやったことのない授業でもいいわけです。要は、理想的な授業です。
実際の授業は、子どもたちの反応によって、いろいろとぶれます。授業の慣れた教師は、そのぶれをうまく利用して、授業で教えるべきことを教えます。
授業プランは、2ページ分のスペースしかないので、スッキリした展開で書くことになります。途中でぶれそうな展開への対応は、表面に書くのです。
ただ、授業プランといっても、実際に授業したことがある場合は、その時の子どもたちの意見を取りこみます。子どもの意見は、大人が思いつかないものも多いです。
授業プランを見開き2ページでおさめることで、その授業をパッと一目で見渡すことができます。それが大切なのです。
法則化論文は、発問・指示を明確し、枠囲みで表現していました。ただ、長さ制限はないので、1つの授業の何ページにもなる場合もありました。何ページにも渡る物語や説明文の読み取りが大変なように、何ページもある実践は追試しにくいのです。
授業プランに制限があるから、そこで書けなかったことを表面で書くのです。
(2016.5.5)
学力研合同例会用のレポートです。
☆ ☆
「授業実践を文章化するための方法~普通の教師が自分の実践を本にするには~」
1)書く機会を増やす。
①教育に関することを毎日書く。(21日間続けば習慣になる。)
②学級通信を書く。(子どもの日記や作文を多用しない。)
③原稿やレポートを書く。
※読者がいること。(読者を意識した文章を書くため。)
2)束縛された中で書く。
①1行の文字数、1ページの行数を決める。
(残った空白を埋めるときに創造制が発揮される。)
②自分の言葉を使って、文章を書く。(指導書の文章を丸写ししない。)
③読んだだけで分かる達意の文を書く。(一文一事の短文をめざす。)
3)授業実践を文章化するためのステップ
①サークルのメンバーに読んでもらうための授業実践を書く。
②子どもたちや保護者(+管理職)に読んでもらうため授業実践を書く。
③会報や雑誌の原稿を書く。
④自分の実践を書き、本にする。(構成も考える。)
4)授業実践を文章化するためのコツ
①発問・指示を明確化にした授業をする。
②子どものノートを集め、授業記録に使う。
③板書をカメラで写して記録し、授業記録に使う。
④授業を録音し、テープ起こしをする。
⑤サークルの例会や講座に参加し、レポートや原稿を書く機会を得る。
⑥サークルの代表になり、必ず実践記録やレポートを出す。
⑦「自分の本を出版する」という目標を立て、構成を考え、書き始める。
⑧自分の実践をホームページにアップする。
⑨講座を企画し、自分の実践を書いたり、発表する場を作る。
⑩自分の過去に書いた実践記録を今の実践に役立てる。
5)余談
自分の本を書いて出版していると、「荒井先生だからできるんだ」というようなことを言われる場合がある。それは裏返せば、「自分には無理だ」と言っているだけである。たとえ、世界中の人が「あなたには無理だ」と言っても、あなただけは自分の可能性を信じてほしい。
(2016.6.9)