随筆と作文のちがいと指導の仕方

 石田先生から、作文と随筆の違いと授業展開についての質問をいただいたので、次のようなメールを返しました。

 随筆は、作文の中の一つですね。自分の体験(事実)を元に、自分の考えを書くのが、随筆です。ポイントは、自分の体験です。
 作文の中には、創作といって、体験してないことを書くこともあります。
 ですから、授業の流れは、決まってきます。

 ①自分の体験を思い出す。
 ②どの体験について書くか決める。
 ③その体験についての自分の考えや思いを書く。
 ④体験と考えや思いを合体させて、作文する。

 この体験が過去の出来事であれば、教科書の例文のように、過去の自分の思いと今の考えが違うわけですから、それも表現すればいいのです。
 問題は、どの体験を書かせるかです。
 私なら、まず、1年生のときの体験に限定して、まずは、全員に出させます。
 それは板書させたり、発表させることで、お互いの発表に触発されて、その体験を詳しく思い出せることができるでしょう。
 ここは、事実の確認なので、そのときの思いを出させません。
 事実と思いを明確に分けさせます。
 次に、それぞれの体験でどんなことを思ったかを言える子だけ言わせていきます。
「1年生の体験の中でその時どう思ったかを思い出せる体験を1つ選びましょう。」
と言って、書く体験を決めさせます。
 そして、体験+そのときの思い+今の自分の考えをセットで書けば、随筆の完成となります。
 参考になれば、幸いです。 

「ずい筆を書こう」は、『新しい国語六』(平成27年度版、東京書籍)に載っています。
 教科書も「体験」という言葉を前面に出しています。

◆体験した出来事を思い出し、題材を集める。
◆体験した出来事と今の自分の考えを整理して書く。

 体験した出来事を思い出す。実は、これだけでも難しい。
 なぜなら、格差があるからです。例えば、私は過去のことをほとんど覚えていないので、1年生の頃と言われても、思い出せません。
 だから、学級全員の力を使うのです。
 クラスで聞けば、様々な体験が出されます。そのことで思い出せる子も多くいるわけです。
 最初で躓かせない指導が必要なのです。

(2016.6.30)