理解語彙と使用語彙

 石黒圭『語彙力を鍛える~量と質を高めるトレーニング~』(2016.5光文社)を読んでいます。

そもそも私たちは、日本語の語彙を、赤ちゃんのころから辞書を引いて学んできたのではありません。使われている状況や文脈からこんな意味だろうと類推して理解し、何度か出会ううちにその意味に確信が持てたら自分でも使ってみる。その繰り返しで日本語の語彙を習得してきたわけです。類推というのも、理解語彙を増やすのに有力な方法です。

  この本を読んで、面白いと思ったのは、語彙には、理解語彙と使用語彙があるということです。理解語彙とは、意味の分かっている語彙です。自分のことを言うときに、俺・僕・私・自分・吾輩などがあることを我々は知っています。でも、実際に自分が使うのは、1つか2つでしょう。実際に使う語彙を使用語彙というのです。
 わたしたちが文章を書くときは、たくさんの理解語彙から文脈に合うものを選んで、使用語彙として使うわけです。まずは、理解語彙を増やすのが第1ステップで、第2ステップが適切な使用語彙を使うとなります。
 語彙力をつけるプリントを作るならば、語彙を増やすための習得練習と、語彙を適切に使うための使用練習が入っている必要がありそうです。

(2016.8.1)