掛詞と同音異義語

 和歌や短歌で使われる掛詞が、類語のようで面白いです。
 5年生のあるクラスに、『まんがで学習「おぼえておきたい」短歌100』(1987.10あかね書房)に、次の短歌が載っています。
「花の色は移りにけりないたずらにわが身によにふるながめせしまに」
 小野小町作の短歌ですが、その次のページに、「歌」の豆知識として、掛詞と縁語が紹介されていました。

ふる→「経(ふ)る」……長く時がすぎる
→「降る」……(雨が)降る
ながめ→「長雨」……いつまでも降りつづく雨
→「眺め」……ものを思いながら、ぼんやりとしている
「ふる」と「ながめ」は、同じ音の言葉に、二つの意味が重なっています。これを掛詞といいます。また、「ふる」と「ながめ」とは、雨に関係がある、縁の深い言葉で、このような言葉の使い方を、縁語といいます。

  掛詞が同音異義語、縁語を類義語と考えるといいですね。
「誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」新海誠『君の名は。』(平成28年6月角川文庫)
の「誰そ彼」は「黄昏(たそがれ)」と、掛詞になっているのでしょう。

(2016.9.4)