感覚で判断しない

 出口汪『日本語の練習問題』(2013.11サンマーク出版)に次の問題があります。

 次の(  )に入る言葉を、あとの選択肢から選びなさい。
 一枚の枯れ葉が天下の秋を(  )する。
 ア 予感   イ 予告   ウ 予想   エ 予期

 アからエ、どれでも合いそうに思えます。
 わたしたちは日本人で、常に日本語を使っているので、直感的に、この言葉じゃないかな、と選べてしまいます。

感覚で判断する限りは、たとえ正解であってもそれはたまたまであり、こうした練習をいくら積んでもあなたの文脈力や読解力、説明力が磨かれることはまったくないのです。 

「(  )する」は述語です。述語があれば、主語があります。主語は「一枚の枯れ葉」です。「枯れ葉が話者の私に秋を(  )する」わけです。もし、「予感」であれば、「枯れ葉が私に秋を予感させる」とならなければおかしいです。 これは、予想でも予期でも同じことです。
 一枚の枯れ葉が天下の秋を予告する。
 枯れ葉が話者の私に秋の訪れを告げるわけです。
 述語と主語の規則をしっかり身につけていれば、正解できるわけです。

(2016.12.31)