福澤諭吉編『慶應義塾生板 啓蒙 手習の文』の中に、「天地の文」が載っています。その中に、「地球の文」も載っています。
地球の形圓くして廻れは一萬三百里北と南に線を引き爪を割たる半分を西と東に竝れは西なる方は亜米利加州東のかたの國々は亜細亜阿弗利加欧羅巴東の端の日本國南の海の大洋州是東西の半地球地球の面を四つに分け一分は陸地三つは海陸地にすまふ人の數十億より尚おほし(後略:荒井)
よく読めば何を言いたいかは分かります。
この「地球の文」も「天地の文」と同じ構成になっています。「天地の文」では「稚き時に怠たらは老て悔ゆるも甲斐なかるべし」でした。「地球の文」では、
稚きに學ふこそ國の富強の基なれ
となっています。幼い時から学ぶことが国が豊かになる基となると言っているわけです。
要するに、「地球の文」も「天地の文」も、最後に言いたいことはほぼ同じで、前の事実の中味だけが違うだけなのです。
新聞の一面に掲載されているコラムも、様々なニュースを事例に出しながら、最後に言いたいことを書いています。
どちらも同じ型だといえるでしょう。
型が分かれば、真似して書くことはできるのです。
分数の真ん中に引く線を活線という。活線の下を分母、活線の下を分子という。
母親が子どもをおんぶしているといえるだろう。
分母より分子の数が小さいときを真分数という。
分母より分子の数が大きくなると仮分数となる。
子どもが親よりも重くなると、子が落ちないように帯をしめる。それが帯分数だといえよう。いつの世でも、親は子どものために無理をするものだ。
真の子ならば、親をおんぶできるようになれ。
算数の教科書が手元にあったので、パラパラとめくり、上のような文章を書いてみました。意外と作れるものです。
光村の「随筆を書こう」は、忘れられない言葉を書き、その言葉に出会った時の体験を書き、最後に感想や意見を書く、という構成になっています。
「忘れられない言葉」を全員が思いつけるかといえば、これは無理でしょう。
そこで、偉人の名言や格言を見つけてこさせ、それから1つ選ばせます。
その名言や格言に、自分の体験、そして感想と意見をセットすれば、随筆のでき上がりとなるのです。
名言や格言をクラス全員にいくつも発表させ、その中から、自分の体験が書けそうなものを選ばせます。
型が見つかれば、その型に沿って、あとは書くだけなのです。
(2017.1.4)