堀裕嗣氏が「「言語技術」の習熟三段階~話すこと・聞くこと(1)~」(『国語教育 2002年5月号』明治図書)の中で述べている習熟の過程が分かりやすいです。「知識→技術→技能」の習熟三段階です。
いわゆる「言語技術」が技術として機能するためには、まず第一にそういった技術があるということを「知識」として知っている必要がある。「技術」と言えども、まずは「知識」として持つことから始まるのである。例えば、「大切なことを言うときには、それまでの話し方のトーンよりもゆっくりと低い声で話すと説得力が高まる」という技術がある。これを「知識」として持たないことには、使いこなせるはずもない。
習得した「知識」を意識的に使い、その通りに使えたときにその知識を「技術」として習得したことになります。さらに、その「技術」を意識せずに使えたときに、その人の「技能」となるのです。
知識が技能となるためには、知識を意図的に技術として何度も使い続け習熟する必要があるわけです。
講座は、教育技術を知識として参加者の先生方に伝えます。その知識を演習形式で技術として使わせることはできても、技能にするのは、その先生の今後の努力に関わるわけです。(この話を講座の最後にしようと決めました。)
(2017.3.7)