VWとスライド作りの基本

「VW」という言葉を知っていますか。
 「Vision(ビジョン)&Hard Work(ハードワーク)」とは、「目的・目標をはっきり持ち、それに向かって懸命に働く」ことだと山中伸弥教授は言います。
 山中教授が、1993年に米サンフランシスコのグラッドストーン研究所の博士研究員となり、トレーニングを受けていた時に、当時の所長ロバート・マーレー先生が、教えてくれた言葉が「VW」なのです。

 日本人は概して勤勉ですから、ハードワークについては問題ありません。しかし気がつくと、「ハードワーク」をすること自体に満足して、ビジョンを忘れがちになってしまう。(『日経ビジネスAssocie2017.4』より)

 これは、教師にも当てはまることではないでしょうか。
 ハードワークに関しては、ほとんど仕方がないでしょう。目の前に子どもたちがいて、よりよい教育をしようとすれば、ハードワークに成らざるを得ません。
 ただ、そのハードワークが無駄な労力になってしまうことはできるだけ回避したいものです。
 このVWについて書いてあるのは、上記の雑誌の「トップランナーに聞く」という編集長インタビューです。この中に、プレゼン用のスライド作りについて、山中教授に語っています。

 プレゼンの場では、一般の人に難しいことを言っても伝わりません。伝わらないと絶対にダメなわけです。伝えるためには、相手に寄り添ったプレゼン内容にする必要があります。

 このプレゼンで研究費用ができるかどうかが決まるのですから、研究も大事ですが、プレゼンもこのプレゼンも超大事なのです。

 スライド作りの基本は、「できるだけシンプルにする」ことです。文字でなく、絵が主役と言っても過言ではない。私は、プレゼンは紙芝居だと思っています。見せるのはあくまで「絵」であって、「文字」ではありません。聞いている人がスライドの絵を見て、「何?」と思ったところで、その絵に合った話をする。

 私も山中教授のスライド作りには、賛成です。文字を見せても見えない人もいるし、文字を見るだけで眠たくなる人もいます。

 この時に大切なのは、「スライドに書いてあることだけをしゃべる」ことです。目から入る情報(=しゃべっていること)が違うと、聞く人は何が説明されているのか分からなくなり、混乱してしまいます。

 このことを私はあまり意識できてませんでした。
 絵や写真に関することを話した後に、ついつい、それと関連する別のことを話してしまったりします。そういう時は、プロジェクターのシャッターを閉め、話だけに集中してもらえるようにすべきだったのです。

(2017.3.27)