最初からうまくはいかない

 矢部輝夫さんが、テッセイに着任したのが平成17年7月です。

 着任して4カ月後の11月、矢部さんはホームなどでお客さまをサポートする案内業務やホーム・コンコース内の清掃を主に担当する「コメット・スーパーバイザー」というチームをつくり、14名を任命しました。制服も真新しいものに新調。教育や訓練も矢部さん自信が行いました。(『新幹線 お掃除の天使たち』より)

 この取り組みに対して、次のような声や批判もあったそうです。

「清掃の会社なのに、なんでこんなことをしなくてはいけないのですか?」
 疑問をあからさまに口にする人もいました。「矢部部長は若い女性コメットのところに鼻の下を長くして日参している」と揶揄する声まで聞こえてきました。
 矢部さんはそれでも自分の思いを受け止めてくれる「分身」が必ずいるはずだと信じ、教育・訓練を続けました。

 新しい取り組みをするとき、最初からうまくいくことは滅多にありません。
 人は変化を避けてしまうものです。
 それでも、自分の信じることをやり続けることが大切なわけです。
 この後、やる気のある2人の女性が出てきて、いろいろなアイデアを出してくれるようになりました。その出てくるアイデアを矢部さんは取り上げ、どんどんの実践させていったのです。

(2017.5.24)