中心人物の願いに焦点を当てる

 物語文の学習は、その物語を通して、何を学ぶかが大切になってきます。
「豆太って、おくびょうだったのに、すごい。」「ごんぎつねがかわいそう。」など、内容に関する感想だけで終わってはいけないのです。
 例えば、初めてりんごの皮をむいて、りんごを食べます。このとき、皮をむいた経験が、なしの皮をむくときにも使えるわけです。
 物語文の学習も同じです。
 1つの物語を読み解くために行ったことが、別の物語を読み解くときにも使えるのです。
 読み解き方は、さまざまあります。
 その中の1つが、中心人物の願いがどうなっていくかを見ていく方法です。
「ごんぎつね」の場合、中心人物・ごんの最初の願いは、兵十につぐないをすることです。その願いは、やがて、兵十に自分のことを理解してもらいたいへと変わります。その願いの変化が、ごんが兵十に撃たれる悲劇へとつながっていくのです。しかし、撃たれたあとで、ごんは兵十に気付いてもらえたことで、願いの一部がかなうのです。
 願いがどう変わっていき、どんな形でかなえられていくか、そこに焦点を当てて物語を読むのも、一つの読み取り方なのです。

(2017.7.2)