目的によってアウトプットの仕方が変わり、何のためにアウトプットするのかを明確にすると、効果が上がります。
『新しい国語 四上』(平成27年度版、東京書籍)に、「広告と説明書を読みくらべよう」というのがあります。
広告は、商品を売るために、その商品の特ちょうやすぐくれているところを、できるだけ多くの人にうまく伝えようとするものです。そのため、多くの人の目にとまるように、キャッチコピー、写真や絵の使い方、色やレイアウトなどにくふうがこらされています。
一方、取りあつかい説明書は、商品を買った人が使い方を正しく理解して安全に使うことができるように、使用方法や使用上の注意などを中心に説明したものです。したがって、使ううえで知っておく必要のあることがらがくわしく書かれています。また、使っていてこまったことが起きたときに、どうすればよいかも書かれています。(P.98~99)
広告も取りあつかい説明書も、企業からすれば、アウトプットです。でも、そのアウトプットも目的が違えば、中身は全然ちがったものとなるのです。
教師が実践をアウトプットするときは、どうしても「取りあつかい説明書」に近くなってしまいます。もちろん、実践する方法は詳しく書かれているべきですし、気をつけないことも書いてあった方がいいでしょう。
ただ、どんなにいい実践であっても、それを誰かが手にして読んでくれなければ、アウトプットした意味がなくなってしまいます。
それゆえ、広告のように、その実践の性質や良さが伝わるような書き方も必要になってくるのです。
さて、『クーリエ・ジャポン2017.9』に「初公開!3歳からの必修「マネー教育」」の中に、ベス・コブライナーの『自分の子供をマネーの天才に育てる(たとえあなたがそうでなくても)』(未邦訳)が紹介されていました。
コブライナーが推奨するのは、子供に「三つの貯金箱」を持たせることだ。
一つめの貯金箱には、「自分の楽しみに使うお金」を貯める。子供が何か高価な物を欲しがったら、ここからお金を出して店に行かせる。二つめの貯金箱には、「貯蓄用のお金」を貯める。そして三つめの貯金箱には、「他人と分かち合うためのお金」を貯める。災害時の寄付などのお金は、ここから出させるのだ。
貯金は、すなわちインプットです。
インプットをするとき、それはどんな目的、すなわち、どんなアウトプットのために使われるかを意識すべきなのです。
教師としての教養を深めるための読書もあれば、たんに楽しみのための読書もあっていいのです。
何のためにインプットするのかを明確にすると、効率が良くなるわけです。
(2017.8.9)