説明文「色さいとくらし」に、次の文章があります。
色には、物を目立たせたり、区別をしやすくしたりする働きがあります。また、印象を変える力も持っています。くらしの中の色は、こうした効果を活用して選ばれています。
この文章から次の問題が出されました。(スタディアプリより)
線「こうした効果」とありますが、くらしの中の色はどのような効果を活用して選ばれているのですか。文章の中の言葉を使って三つ答えましょう。
・物を
・区別を
・印象を
「こうした効果」の前に答えはあります。
ただ、このとき、答えを次のように書くと減点となります。
「物を目立たせたりする。」
なぜなら、「~たり」は、2回以上使うときだけの表現だからです。
それゆえ、答えは、「物を目立たせる。」「区別をしやすくする。」「印象を変える。」となるのです。
教えていなければ、子どもは平気で「~たり」で書いてくるでしょうね。
(2017.8.11)
8/11の考現学で紹介した「色さいとくらし」は、『新しい国語四上』(平成27年度版、東京書籍)に載っていました。
わたしたちは、さまざまな色さいに囲まれてくらしています。店先には色とりどりの商品がならび、町行く人々は、自分の好きな色の服を着て歩いています。公園の木々に目をやると、自然の緑が目に飛びこんできますが、木の種類によっては、季節によって大きく色が変わるものもあります。生活の中にあるさまざまないろどりを見ていると、楽しい気持ちになったり、落ち着いた気持ちになったりすることもあるでしょう。
6ページの説明文で、題名はありますが、筆者名は書いていません。
スタディサプリの上記の文章に対する問題は2問あります。
(1) わたしたちは、何に囲まれてくらしているのですか。文章中から三字でぬき出しましょう。 さまざまな□□□
(2) (1)を見ていると、わたしたちはどんな気持ちになったりするといっていますか。二つ答えましょう。
1問目は簡単です。「色さい」です。2問目は、「楽しい気持ち」「落ち着いた気持ち」なら正解ですが、「楽しい気持ちになったりする」と書くと間違いです。
なぜなら、「~たり」は2つ以上並列したときに使うからです。
Googleで「たり」を検索すると、「誤用率が非常に高い「~たり」の用法!その正しい使い方とは!?」というページがヒットしました。
「先週の日曜日は本を読んだり、散歩をするなどして過ごしました」
上の文を読んで、何か変だと感じましたか?もし、どこがおかしいのかさっぱり分からないというのであれば、「~たり」用法を学び直す必要があります。
実は、この「~たり」というのは並列助詞、あるいは並立助詞と言って、「~たり、~たり」と繰り返すのが通常の使い方なのです。「飛んだり跳ねたり」や「寝たり起きたり」、あるいは「踏んだり蹴ったり」などといった言い回しは耳にしたことがありますよね?この「~たり~たりする」という表現には、同程度のことが繰り返し起こっていることを示しています。
したがって、先の文の正解はこうです。
「先週の日曜日は本を読んだり、散歩をしたりして過ごしました」
でもここで、「先週の日曜日は、何をして過ごしましたか。2つ答えなさい。」と聞かれたら、「本を読んだ。」「散歩をした。」と書かないといけないのです。
「本を読んだりした。」「散歩をしたりした。」と書くと間違いになるわけです。
ただ、「一例として挙げ、他にも同様の事があるのを暗示する時に使う」ときは、「~たり」は1回しか使われません。
「そんなにあばれたりして悪い子だね。」
2つ例示しているのに、片一方だけに「たり」があると問題なのです。
(2017.8.29)