村中李衣の物語「走れ」を学習します。
主人公は小学4年生ののぶよ。弟は2年生。父親は死別し、母は弁当の仕出し屋を経営している。去年の運動会は、母は来れず。一等をとった弟はそれを知って大べそをかく。姉ののぶよは、弟をなぐさめながら、びりまちがいなしの短距離走で、心の中がぐしょぐしょになった。
そして、今年の運動会です。母は絶対に来ると弟に約束。足の遅いのぶよは、
憂鬱な気持ちをかかえています。
「ね、ね、今日はお母ちゃん、ぼくが走るまでに来てくれるよね。」
歯みがきのとちゅうで、けんじが顔をのぞかせる。
「ん……たぶんね。」
のぶよは、お母ちゃんのしわしわのまくらを、パンッとはたいて、おし入れに放り込んだ。
弟は、母が来ることを信じてます。でも、のぶよは、もしかしたら来れないかもと思っているのでしょう。「ん……たぶんね。」という言い方がそれを表しています。また、4年生ともなると、大人の事情もよく分かるのでしょう。運動会のような行事の日の弁当屋はいつもより忙しいことも予測がつくのでしょう。
母が来ないときの弟の落胆を考えると、より憂鬱な気持ちになるのでしょう。
(2013.6.30)