板書における緊張感の維持

『教え方ライブで聞いたあの向山フレーズ4“あの一言”が教師修業を楽しくした』(明治図書)の中で、木村重夫氏が次のような問題提起を書かれています。

 板書する子は「早くできる」子だ。優秀な子が多い。なかには「早いけれどミスが多い」子もいる。
 何回も板書できる優越感から「私語」が出たり、「のろのろ」書いたりして「ゆるみ」が生じやすい。
 これらの子に「緊張感」を持たせたい。この子たちを集中させたい。
 さらに、板書に間に合わなかった子たちがいる。この子たちも集中させたい。

 ゆるみを見逃さないからこそ、学級が統率され、子どもの力を引き出すことができるのでしょう。
 木村氏は、5つの指導方法を書かれています。

(1)文字や数字をていねいに書かせる
 板書に丸を付ける時、特にていねいな子やくっきりと書いた子をほめ、二重丸・三重丸にする。
 手をいっぱいに伸ばして高い位置に書いた三年生には「みんなが読みやすい位置に書いた。」とほめる。
 名前までていねいな子には、名前にも丸を付ける。(中略:荒井)
 一年に何回かは、「超きびしい」個別評定をする。(中略:荒井)
「数字がていねいじゃない。0だか6だかわからない。50点。」
「イコールの棒の長さが違う。離れすぎ。70点。」(中略:荒井)
(2)黒板消しを使わせない(中略:荒井)
(3)書いた子から発表させる(中略:荒井)
(4)板書のミスを見つけさせる
「黒板の中に間違いがあります。わかる人?えらいな。黒板をよーく見てい たからわかるんだね。」(中略:荒井)
(5)答えの読み間違いを聞き取らせる(中略:荒井)
「今の発表で間違いがありました。よく聞いていた人はわかります。わかる 人?」
 まじめに聞いていた子だけが手をあげられる。
「○○さんすごい!よく聞いていた。」力強くほめる。
「ぼんやり聞いていた人は、答えられません。」このくらい言う。

 木村先生は具体的にその場面を描写されてます。力のある証拠です。

(2003.7.26)