説明文「生き物はつながりの中に」の1段落です。
イヌ型ロボットを知っていますか。生き物であるイヌの様子をよく観察して、そっくりな動きをするように工夫して作ってあります。体内にコンピュータが入っていて、持ち主の声にこたえてしっぽをふるなど、とてもかわいいものです。でも、ロボットのイヌは本物のイヌとはちがいます。どこがちがうのでしょう。そのちがいを考えながら、生き物の特徴をさぐってみましょう。
最初に、作者の問いの文を探させました。「イヌ型ロボットを知っていますか。」と「どこがちがうのでしょう。」に分かれました。
「一文目は単なる呼びかけだから違います。」と、私の方で一蹴しました。
「どこがちがうのでしょう。」だけでは、何を問うてるのか分からないので、前の文と合体させました。
「ロボットのイヌと本物のイヌでは、どこがちがうのでしょうか。」
ここで、やっと最初の問いを板書しました。
「問一、作者は、ロボットのイヌと本物のイヌでは、どちらのことが言いたいの ですか。」
「ロボットのイヌ」が12人、「本物のイヌ」が11人でした。
理由を発表させていくと、「ロボットのイヌ」派は、ロボットのイヌのことが一文目から書かれていることや、ロボットのイヌのことがくわしく書かれていることなどを指摘していました。
一方、「本物のイヌ」派は、生き物の特徴をさぐってみましょう、という文を指摘したり、題名の「生き物はつながりの中に」を指摘できました。
討論させるつもりはなかったのですが、少し討論っぽくなって面白かったです。
結局のところ、作者は、ロボットのイヌのことを言いたいのではなく、さらに本物のイヌのことを言いたいわけでもなく、生き物の特徴について語りたいわけです。本物のイヌもロボットのイヌも、言いたいことを語るための素材にしか過ぎないのです。
「問二、イヌ型ロボットは、体内に何が入ってますか。」
時間がなかったので、「何が」の部分の「何」だけを答えるべきことを言っておきました。「~が入ってます」や「体内に~が入ってます」などの余分な言葉を書かないことを言っておいてから、答えを持ってこさせました。
それでも、「コンピュータが入ってます」と書いている子がいたので、×にしました。「コンピューター」と書いて×になった子もたくさんいました。文章の言葉をよく見てない証拠でしょうね。
今回の問いは、基本的な問いなのですが、それでも全員が一度に正解することはありません。作品の本質に迫るような発問はとりあえず置いておき、基本的なことを確実にできる力をつけさせたいものです。(2010.5.18)