書き出しの工夫

 書き出しは、プロの作家でも苦労するところです。

《ねらい》 作文の書き出しを工夫させるだけで、作文が見違えるように面白くなります。
《すすめ方 一番面白かったことから書かせる。》
何もしないと、行事関係の作文は、今日の日付から書き出ししてしまいます。
「5月16日の火曜日、遠足に行きました。」
「9月30日の日曜日、運動会がありました。」
というように。
 そして、朝からその行事が終わるまでを書き連ねるわけです。
「運動会で、一番面白かったのは、何ですか。」
「大玉転がし。」「応援団の応援。」
「一番面白かったところから、書き始めてみよう。」
 次に、書き出しの一文だけ持ってこさせ、板書させます。
 それをみんなの前で読み上げ、どの書き出しがいいか考えさせます。
 ・ 次はいよいよ大玉ころがしだ。
 ・ パーンという音で、大玉ころがしが始まった。
 ・「あっ、こけちゃった。」
 動きのある場面、音のある場面、会話の場面などで書き始めると、書き出しがよくなることを教えます。そして、もう一度、書き出しだけを考えさせ、合格した子から、作文の続きを書かせていくのです。

「あっ、こけちゃった。」
 私の前のグループの三原さんがこけました。しんぱいです。
 でも三原さんはがんばって、立ち上がって、こっちに走ってきます。…

書き出しができると、すいすい続きが書けていくようです。
《成功のポイント ワンポイント指導》
「今日は、会話文で作文を書き始めてみましょう。」
「今日は、音のある場面から書き始めてみましょう。」
というように、教師の方から、書き出しの条件を指定するのもいいです。
 さらに、クラスみんなの書き出しを紹介させることで、書き出しのうまい書き方がクラス全員に理解されていきます。
《こんな場合は どうしても書けない子には》
 何月何日というような書き出しの仕方しかできない子もいます。
 そういう時は、途中まで書いた作文の中から、書き出しにできそうな文を選んで、そこから作文を書き始めるように言うのです。
「この会話文、とてもよく書けてるね。ここから、この作文を書き出すと、すごく面白い作文になるよ。」

(2006.7.27)