今回の「白いぼうし」の授業実践を支えた文献は、次の3冊です。
①久保 齋『子どもを伸ばす一斉授業』(小学館2006)
②伴 一孝『伝え合う力を伸ばす「向山型討論」の授業』(明治図書2007)
③浜上 薫『「分析批評」の授業づくり4』(明治図書1992)
①については、本に書かれてあることだけでなく、久保先生が講座の中で話されたことが、実践にいかされています。例えば、「つぶす」です。今回、場面ごとに気付きを書かせ、板書させ、それを私が全体の場で扱っていきました。その時に、簡単なことだけで全員で共通理解しておかなければいけないような意見をさらりと扱ったわけです。それを「つぶす」作業です。
②の本からは、キーワードによる各場面のまとめ方、最終授業の全体を表す一語を選ばせる実践を追試しました。
③の本からは、第1時であらすじを書かせること、女の子が消えた理由を書かせることなどの実践を追試しました。
基本的な授業構成は、次のようになっています。
(1) 音読
(2) 分かったこと・気がついたこと・思ったこと・へんだなと思ったことを扱う。
(3) 教師のメイン発問
(4) この場面のキーワードの抽出から、場面を短く表す。
(1)~(4)までで、最低2時間はかかります。(1場面は3時間使う。)
(1)と(2)で1時間、(3)と(4)で1時間という感じです。(ここでの1時間は、授業時間45分間のことです。)
実質は、授業の開始に名文音読をしたり、終了時間が3,4分余れば、百人一首をしたりしています。約80分あれば、1サイクルの授業が完了できそうです。
【2008.7.8】
11:45:25「昨日、白いぼうし初めて勉強しました。ノートにどんなお話かっていうの書いてもらって、全部記録を残してますから、この勉強が終わった時に正しく書けるようになってください。そのページはあけておきます。」
11:45:46「じゃあ、教科書開いて。」
11:46:29「はい、あとついて読みます。」1場面連れ読み
「これは、レモンのにおいですか。」(教師)
「これは、レモンのにおいですか。」(子ども全)
11:49:11「はい、では次交代読み。先生が最初、みなさんが後。」
「これは、レモンのにおいですか。」(教師)
「ほりばたでのせたお客のしんしが~」(子ども全)
11:50:25「はい、今度はきみたちから。さんはい。」
「これは、レモンのにおいですか。」(子ども全)
「ほりばたでのせたお客のしんしが~」(教師)
11:51:26「はい、隣の人と交代読みをします。全員起立。」
「廊下側の人が最初。」
11:55:47「はい、隣の人が一回も間違えなかったとこ、手をあげて。」
11:55:56 交代読み終了。とても読みの遅い子が1名いる。
11:56:03「はい、鉛筆用意。」
「二人出てきましたね。」
「Aさん、一人は誰ですか。」「松井さん。」
「Bさん、もう一人は誰ですか。」「しんし。」
「松井さんをま、しんしをし。会話文、カギ括弧の上に、まかしか書きなさい。」
「Cさん、「これは、レモンのにおいですか。」は、しかまか、どっち。」会話文の確認作業。
11:58:12「じゃあ、男子が松井さん、女子がしんし、先生が地の文を読みます。」役割読み。
11:58:55「これは、レモンのにおいですか。」(女子全)
「ほりばたでのせたお客のしんしが~」(教師)
「いいえ、夏みかんですよ。」(男子全)
11:59:47「今度は。(子ども「逆?」)逆じゃない。男子がしんし、女子が地の文、先生が松井さん。」
12:00:24「これは、レモンのにおいですか。」(男子全)
「ほりばたでのせたお客のしんしが~」(女子全)
「いいえ、夏みかんですよ。」(教師)
12:01:26「はい、次はやってないやつ。やってないやつだから、どれか分かるね。男子が?」「地の文。」(子ども)
「女子が?」「松井さん。」(子ども)
「先生が?」「しんし。」(子ども)「です。」
12:01:42「これは、レモンのにおいですか。」(教師)
「ほりばたでのせたお客のしんしが~」(男子全)
「いいえ、夏みかんですよ。」(女子全)
12:02:49「はい、よくできました。では、一人ずつ読んでもらいます。丸交代、とにかく丸交代。」
「では、Dくんから。」
12:03:21「これは、レモンのにおいですか。」(D)
「ほりばたでのせたお客のしんしが~」(E)
12:07:26 読み終わり。(23人)
12:07:28「はい、今のすわり方いいですよね。教科書の音をバタッとさせないようにすわらないといけない。次の人の読むの邪魔になりますからね。」
12:07:35「はい、ノート開きます。昨日の次のページ。」
12:08:26「はい、今日は第1の場面。ノートに1行目、1行で1番上から、第1の場面。」(板書:第一の場面)
12:08:52「第1の場面を読んで、気がついたこと、分かったこと、思ったこと、へんだなと思ったこと、番号を打って書いていきます。」
12:10:20「丁寧に書くので、3つ書けたら持ってきなさい。」
12:12:12 1人目、指示された1つを板書し始める。
12:19:48「はい、ではそこまで。今の数見なさい。3つだったら、赤で30点って書く。今の数ですよ、これ以上書いたの関係なし。」
12:20:44「はい、では行きます。Fくんから、行くよ。こっち集中して。みんな聞いてなかったからもういっぺん。」
「いきなり会話の文。」(F)
「お話って会話の場面からすると、お話に入りやすいことがあるからね。」この後、Gくんまで扱う。
12:24:22 チャイム「残りは今度扱うということで、給食の用意。」
(2008.7.21)