題名を導き出す方法とは

 まど・みちおさんの詩です。西井先生は、この詩の本文を提示して、子どもたちに、詩の題名を考えさせたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本来、題名は、作者が読者に対して、1番初めに提示したいものです。
 読者は詩を読むときに、題名を懐中電灯代わりにして、詩の本文を読みとっていくわけです。
 その題名を考えるならば、その題名を考えるための手順があるのでしょう。
 普通、詩を扱うならば、次の3点を子どもたちに確認していきます。

1)詩の題名は何ですか。(「分からない」)
2)作者は誰ですか。(まど・みちお)
3)何連の詩ですか。(3連)

 3連の詩であることを確認できると、「ない」だけで1連を使っていることが奇異に見えてきます。そのことで、作者は「ない」ことを強調したいことが分かります。
「ない」ことを強調してるのであれば、逆に「ある」のは何かを見て行かなくてはいけません。
「この詩にあるものは何ですか。」
 草・木・人間
 草や木を栄えさせてくれるもので、人間の視界から見えないものといえば、空気であったり、太陽の光だったりします。
 ただ、詩の中では、人間の視界から消えているものと書いていますから、見えるけれど、消えているとも考えられます。
 それゆえ、題名は「根」だといえるわけです。(実際に題名は「根」です。)
 草や木を栄えさせるとは、根は水や養分を吸収して、草や木に送っているということです。
 さらに「人間の視界から」が出てくることで、これは例えであり人間を栄えさせてくれる存在を人々が忘れていることへの作者からの警鐘とも捉えられます。 何にしても、本文から題名を類推することは、難しいです。

(2014.7.19)