士農工商の町人③

「店にはドアが無い」という奥原くんの発表に対してセレクト発問をしました。
「本当にドアが無いのか、それとも、見やすいようにドアの無い絵にしているだ けでしょうか。」
 要するに、資料集の絵を作った出版社が、家の中味が見えやすいように、ドアを描いてないだけなのか、ということを問うたのです。
 実は、その答えは絵の中に隠されています。ある店の横に、木戸が数枚立てかけてあるのです。当時は、店の木戸をはずして、店を開いていたわけです。
 こういう問いを出すことで、資料を注意深く見る必要性に気付かせます。

・しゅうじをしている人がいる(小西)→今と変わらないね。
・いごで遊んでいる子がいる(平瀬)→すごいね。
・二階だての店が多い→二階が住まいになってるんだね。
・黒いやかんがある(浮島)→えっ、どこですか。
・古紙買いしている(乾)→紙は貴重ですから、今でいうリサイクルですね。

 この後、道路に溝があること、ゴミが落ちてないことを確認しました。
 そして、岡並木「江戸・パリ・ロンドン」(講談社)にあった2枚の絵を子どもたちに配りました。手塚美和氏の「江戸の都市づくりに学ぶ(下水編)」(Toss№2160095)にこの本が参考文献として挙げられてたのです。

 どちらも17世紀ごろのヨーロッパの町の絵です。左は、下水道の汚物が紳士や貴婦人の服に跳ねかかっているところです。 当時のヨーロッパは、生ゴミが道ばたに捨てられ、汚物や排泄物が下水にあふれる不衛生なところだったのです。
 右下の絵では、二階の窓からおまるの中味が捨てられています。
 そこで、当時のヨーロッパでは、シルクハットやハイヒールやマントが流行ったのです。汚物から身を守るために作られたのです。
 そんな話をこの絵とともに子どもたちに話し、当時の江戸の町がとても清潔だったかを話しました。その証拠に、町の絵では、ほとんどの人がぞうりをはいています。町がきれいだから、ぞうりがはけるのです。
 この後、江戸時代のリサイクルの記述も読みました。

 

 

(2007.9.16)