原稿:分かりやすい地震の説明②

《①地球の中を予想させる。》
「なぜ地震が起こるのか。その秘密は、地球 の中にあります。」
 普通に地球の中を予想させると、あらかじめ知っている子が得々として発表するだけになってしまいます。
「嘘の絵でいいから、地球の中の絵を描いてごらん。面白いのがいいなぁ。」
 このやり方は、5年で種の中を見せる前にも有効な指示です。
 正解を見せる前に予想させる、これは理科授業の原則の一つです。
《②地球の中を図で見せる。》
子ども達の想像図を板書し、発表させたあと、大昔のインド人が考えていた地球の中の想像図を紹介します。
「昔の人は、地球の下の象が身震いした時に、地震が起こると思っていたんだよ。」
この後、正しい地球の中を図で見せます。
《③マントルが動き、プレートが動くことを 図とともに説明する。》
さらに、マントルの熱対流によって、地球表面にある十数枚のプレートが動くことも教えます。(熱対流については、4年のものを温める単元を思い出させるといいです。)
《④プレートの動く速さを予想させる。》
 次に、プレートの動く速さを予想させます。
 1年間の数cmと聞いて、子ども達はびっくりします。
《⑤プレートの動く速さを告げ、大陸移動説 を紹介する。》
「1年間に数cmしか動かないプレートの動きに気がついた人がいます。」
 ここで、ウェゲナーと大陸移動説を紹介します。地球が大昔は一つの大陸であったことを大陸の海岸線の形から推理したウェゲナーに子ども達は尊敬の念さえ抱くのです。
《⑥プレート同士がぶつかり合うことで地震が起こることを説明する。》
「わずか数cmですが、この数cmのプレートの動きが、地震の原因となるので す。」
右手の拳と左手の拳を出しながら、プレートのぶつかる様子を説明します。
「プレート(右拳)とプレート(左拳)がぶつかります。同じようにやってごら ん。」
 拳を使わせるのは、プレート間の圧力を体感させるためです。
「プレート同士がぶつかったり、すれちがったりすることで、地震が起こるので す。」
静岡県地震防災センターのホームページには、地球の中の図や、プレートが動き地震が起こる時のアニメーションがあります。可能ならば、子ども達に見せるといいでしょう。(http://www.e-quakes.pref.shizuoka.jp/why/index_a.htm)
《⑦地震予知の現状を話す。》
「現在、様々な方法で、地震予知がされています。例えば、プレート同士がぶつ かることによって起こる小さな亀裂や岩石の破壊から、大地震を予知していま す。」
「でも、まだまだ地震予知は当たる確率が低いです。もしかすると、みなさんの 中から、完璧な地震予知の方法を発見する人が出てくるかもしれませんね。」

 以上が原稿です。
 同僚の先生に読んでもらいました。
 プレートの説明が分かりにくい、ということでした。
 ほんとは、図や絵をもっと入れた方が、プレートの動きがよく分かります。
 しかし、今回は、分かりやすい説明や図よりも、授業の組み立てに焦点をしぼって書きました。
 私の関心がそこにあるのと、読者が地震の授業以外のところで学んでほしい、と思ったからです。
 毎日毎日、授業があるなかで、たった一つの授業ができればいいわけではありません。毎日の授業をいかに作っていったらいいかが学べる形にしていきたかったのです。

(2005.5.14)