「スイミー」と「海のいのち」

 昨日、大阪市国語部の研究発表がありました。その時の記念講師の住田先生のお話が面白かったです。
「スイミー」と「海のいのち」が似ているというのです。
 大きな事件が起こり(スイミーなら、仲間がマグロに食べられる。海のいのちなら、クエを捕まえようとした父が死ぬ)、新しい出会いを経て立ち直り(海のおもしろいものとの出会い、与吉じいさの弟子としての生き方)、再び、最初の問題に立ち向かい、違う結果を得るからです。
「ハリウッドの物語は、全て、同じ構成になってます。」
との話を聴きながら、『神話の法則』を読んでいたのだろうと思います。
 話を聴いてる中で、スイミーと太一の共通点にも気づきました。スイミーは仲間の誰よりも速く泳げ、仲間が赤なのにスイミーだけ黒い体、という違いを持ってます。物語の結末で、スイミーが目になることでマグロを追い払います。でも、仲間とともに泳ぎながら大きな魚の形になるためには、スイミーは自分の速さを捨て去って、仲間と同じスピードで泳がないといけません。
 一方、太一もクエを殺して村一番の漁師になるという思いを捨てなければ、幸せな結末を迎えることはできませんでした。
 人が幸せになるためには、自分の得意とする何かを捨てないといけないのかもしれません。

(2012.2.18)