某は案山子にて候雀殿

 夏目漱石の「某は案山子にて候雀殿」で授業しました。
 最初は、読めない字は「何とかは何とかにて何とか」というように読ませていきました。
 たくさんヒントを出して、何とか読めるようになりました。
 次に、「分かったこと・気がついたこと・思ったこと・へんだなと思ったこと」を3分間で書けるだけ書かせました。
 最低が2個、最高が10個です。
 次に指名なしで発表させました。
 ポイントは、話者という言葉が使われるかどうかです。
「話者は案山子だと思う。」
「話者は案山子かそれがし。」
「夏目漱石は案山子になりきっている。」
 話者関係は7人の子が発言しました。22分の7ですから、よく出た方です。
 最後に、案山子と雀の絵を描かせ、ノートを提出させて終了しました。
 この俳句には、いろいろな授業展開はあるのですが、今回は話者という言葉を書かせたかっただけです。
 絵は様々なものが出ました。
 ポイントは、雀の数でしょう。
「雀は1匹ですか、2匹以上ですか。」で検討するのも面白そうです。

(2008.9.12)

「某は案山子にて候雀」をもう一時間だけ授業しようと思ってます。
 「雀は一羽ですか。」と問い、絶対に一羽なら○、一羽とはいえないなら×をつけ、どちらかで理由を書かせて、発表させます。
「一羽と書いてないから、一羽といえない。」
「殿と書いてあるから、一羽だ。」
という理由でも、4年生の今(の私のクラス)なら難しいかもしれません。
 でも、私が望んでいる理由は、もっと別なのです。
「二羽以上なら、殿ではなく、たちになる。」
 殿は単数です。殿に対するなら、方が複数となります。

【方】3人を示す名詞に付いて、敬意をもって複数であることを表わす。
  「皆様がた」「御婦人がた」「殿がた」 (『日本国語大辞典』) 

「風船が下りてきました」を、上から見ていたら「下りていきました」になると、書き換えるのと、同じ手法です。
「例えば~ならば、~という文になる。そのような文になっていないから、それ はまちがいである。」という逆説的な論証方法を身に付けさせたいのです。
 でも、この方法が全員に身に付くとは思えません。全員ができるようになることをめざさないのであれば、授業としては不完全かもしれません。

(2008.9.13)