音読指導のステップ

 音読とは、声に出して文章を読むことです。
「音読は、文章を目で見て、声に出して読み、それを耳で聞きます。目と口と耳の3つを使うので、3倍頭を使うことになるのです。」
 子どもたちに語る音読の有効性です。
 川島隆太氏の音読によって脳が活性化してる画像を見せると、より視覚的に音読の有効性が分かります。
 子どもに音読させるのは、教師のためでもあります。
 誰が音読できているかどうかを声に出させてるからこそ、教師が確認できるからです。黙読では、出来不出来を確認できません。
 音読は、学校教育のためにあるようなものです。

音読指導のステップ1「連れ読み」
 教師が読んだ文章を子どもたちが真似て読みます。
教師「ある大きな町のかたすみに、楽器倉庫がありました。」
児童「ある大きな町のかたすみに、楽器倉庫がありました。」
教師「そこには、こわれて使えなくなった楽器たちが、くもの巣をかぶって、ねむっていました。」
児童「そこには、こわれて使えなくなった楽器たちが、くもの巣をかぶって、ねむっていました。」
 このとき、気をつけないといけないことがあります。それは、子どもが教科書の文を見ているかどうかです。教科書を見ずに、周りに合わせて、何となく音読している子もいるからです。
2 交代読み
 まずは、教師と子どもで、交代読みをします。
教師「ある大きな町のかたすみに、楽器倉庫がありました。」
児童「そこには、こわれて使えなくなった楽器たちが、くもの巣をかぶって、ねむっていました。」
教師「あるとき、月が倉庫の高まどから中をのぞきました。」
児童「おやおや、ここはこわれた楽器の倉庫だな。」
交代読みでは、教師の読んだ文を覚えて言うことはできません。次の文を見て読まなくてはいけません。
 この交代読みを隣りの子とさせます。
教師「廊下側から読みます。起立。用意スタート。」
 どちらから読むかをきっちり教師が指示し、サッと始めさせることが大切です。 立って読ませ、読み終わったペアから座っていきます。
3 一文交代読み
一文(句点)交代で一人一人読ませていきます。
太郎「ある大きな町のかたすみに、楽器倉庫がありました。」
花子「そこには、こわれて使えなくなった楽器たちが、くもの巣をかぶって、ねむっていました。」
二郎「あるとき、月が倉庫の高まどから中をのぞきました。」
三郎「おやおや、ここはこわれた楽器の倉庫だな。」
列の先頭の子から立って読ませていきます。次の文を読む子は立って待っておきます。列の最後までいったら、その隣の子が読み、今度は前へ前へと読んでいきます。
 一文交代読みは、一人一人の音読の実力が確認できます。連れ読み・交代読みなどの練習をした後にするといいです。
学習参観で一文交代読みをする場合は、あらかじめ、自分が読む一文を練習させておくといいでしょう。
4 一斉読ときどきグループ・一人読み
 久保齋先生に教えていただいた音読指導です。
 最初、全員で音読していきます(一斉読)。途中、教師が「男子」と言えば、男子だけが読み、「3班」と言えば3班だけが読み、「太郎」と言えば、太郎だけが読むことになります。
全員「ある大きな町のかたすみに、楽器倉庫がありました。」
教師「女子だけで。」
女子「そこには、こわれて使えなくなった楽器たちが、くもの巣をかぶって、ねむっていました。」
教師「男子。」 男子「あるとき、月が倉庫の高まどから中をのぞきました。」
教師「太郎くん。」 太郎「おやおや、ここはこわれた楽器の倉庫だな。」
 みんなに合わせて声を出すだけで、文章を見ていないと、いきなり当てられたとき、音読できないことになります。油断できないわけです。
 このほか、音読には様々な指導方法があります。
 例えば、文部科学省のホームページに、「補習授業校教師のためのワンポイントアドバイス集」があります。その中に、「音読・朗読」について詳しく書かれたページがあるのです。

①「音読」は、黙読の対語(たいご)だから、声に出して読むことは広く「音読」である。
②「音読」は、正確・明晰・流暢(正しく・はっきり・すらすら)を目標とする。
③「朗読」は、正確・明晰・流暢に以下を加える。
ア 作品の価値を音声で表現すること イ 作品の特性を音声で表現すること

 音読の方法についても、円陣読み・拡大語読み・唇読みなど、初めて聞くものも紹介されています。
 グーグルでもヤフーでも「音読 文部科学省」で検索すれば、トップに出てくるので、ぜひご覧ください。

(2013.5.4)