かな対ローマ字対漢字

 昨日、次の本を読み終えました。(夏休み6冊目。目標20冊。)

石井 勲『石井式漢字教育 0歳から始める脳内開発』(蔵書房)

 この中で、次のような研究結果が紹介されています。

 一九九六年、電機通信大学の研究室と、NTTの研究所との共同研究によって明らかになったもので、とても興味深い実験結果があります。
 これは漢字を見たときに、脳がどのように働くかということを科学的に調べたものです。「漢字」を見た場合は、左脳も右脳も一緒に働いていることがわかりました。
 ところが「かな」の場合には、左の脳しか働かないのです。(中略:荒井)
 ですから、漢字で育った子どもとかなで育った子どもとは、脳が働き出すスタートが違うのです。漢字のほうが三倍も速く活動を開始しているのです。

 三倍違う、というのは、とても大きな違いです。
 確かに、ひらがな一文字一文字には意味がなくて、それがいくつか合わさって、意味ある言葉になります。
 一方、漢字は、一文字一文字に意味があって、しかも、漢字の仕組みに注目すれば、初めて見る漢字でも、だいたいの意味がわかるのです。

 二十数年前、日本道路公団が実験した事実  これこそは漢字教育の重要性をズバリ示唆しています。
 日本道路公団は、道路標識をつくるときに「東京」「とうきょう」「TOKYO」など三種類の標識をつくりました。
 ドライバーにとって、地名を表す標識を早く正確に認識するにはどの表記がよいかを実験しました。道路標識を読み取るのに、時間がかかるのは致命的な欠陥です。事故を誘発しかねません。一瞬で読み取れる文字でなければいけないのです。(中略:荒井)
 ローマ字で「TOKYO」と書かれた標識は、1.5秒の時間をかけないと読み取れませんでした。かなで書かれたものは0.7秒、ローマ字の二分の一です。それいに対して、漢字で書かれたものは0.06秒で読み取れることが明らかになったのです。何とかなの10倍の速さです。

 どちらの引用も、漢字のすごさを実験結果で表したものです。何しろ、事実というのは、強いですからね。

(2001.8.13)