明日の6年社会は「黒船の来航」を授業します。日本にとって、歴史的転換になる大きな事件です。そのことが分かるように授業を組み立てたいものです。
ただ教えることが多すぎて、何をどこまで教えていいか迷います。
そこで、教えるべきこと・教えたいことを整理してみます。
【教科書の記述から】
①1853年ペリーがアメリカの軍艦(黒船)4せきで来航する。
②ペリー来航の目的 (1)難破した船の乗員保護 (2)食料・水・石炭の補給 (3)貿易
③1854年日米和親条約…下田・函館の開港→鎖国が終わる
④1858年5か国との通商条約…不平等条約 (1)治外法権 (2)関税自主権がない
⑤19世紀中 大塩平八郎の乱(1837年)
⑥開国・貿易→品不足→世直し一揆や打ちこわし 渋染一揆
⑦倒幕運動、薩摩…西郷隆盛・大久保利通 長州…木戸孝允
⑧1867年 徳川慶喜、政権を天皇に返す(大政奉還)→武士の世の中が終わる
⑨勝海舟…江戸城明け渡し 坂本龍馬…薩摩藩と長州藩の手を結ばせる(薩長同盟)
【資料集の記述から】
⑩「泰平のねむりをさます上喜撰(蒸気船) たった4はいで夜もねられず」
⑪ペリー来航のころの世界の様子(イギリス・ロシア・フランス・アメリカの進出)
⑫1863年薩英戦争、1864年下関砲台占領
⑬物価の上昇…開国した幕府への不満が高まる
教科書の記述でおかしなところは、大塩平八郎の乱がペリー来航のあとに書かれていることです。幕府が倒れる原因として、民衆の不満が募っていたことを言いたいのでしょう。でも、その乱は1837年で、ペリー来航は1854年です。しかも、この2つの事象につながりはありません。
教科書はその不整合をごまかすために、大塩の乱の時期を19世紀中ごろと書いているのです。
ここで、「農民の一揆と打ちこわしの件数」という棒グラフが、教科書にあることに気付きました。大塩が登場するページにあります。
1770年代までは平均100件の一揆だったのが、1780年代に250件、1840年代に380件になっています。これは大飢饉が起こったためです。
このグラフに、もう一つ多く一揆が起こっているのが1860年代です。
これこそが、1858年に不平等条約で開国したことの結果などです。関税自主権がないため、安い値段で品物が入ってきます。さらに、安い値段で外国に品物が買われてしまいます。安い外国産が来ることで国産のものが売れなくなり、国産のものが安く外国に買われることで品不足が起こり、ものの値段が高騰します。このことが、幕府への不満となり、一揆や打ちこわしが起こる原因となったわけです。(まだここは、教材研究です。)
(2007.9.27)