模擬試験問題





乙種第四類危険物取扱者試験
< 模擬試験問題 -3>

◇試験科目
1-危険物に関する法令(15問)
2-基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問)
3-危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(10問) 

◇試験時間(2時間)

  1-危険物に関する法令
問題1 危険物の説明として、次のうち正しいものはどれか。

(1)危険物とは、火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難となるものをいう。
(2)危険物とは、引火性を有する液体又は固体をいう。
(3)危険物とは、引火性を有する液体又は固体で、指定数量以上のものをいう。
(4)危険物とは、消防法別表の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう。
(5)危険物とは、消防法別表の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するもので、指定数量以上のものをいう。

問題2 消防法別表に危険物の品名として掲げられているものは、次のうちどれか。

(1)水素
(2)一酸化炭素
(3)金属粉
(4)窒素
(5)アセチレンガス

問題3 販売取扱所についての説明で、次のうち正しいものはどれか。

(1)第一種販売取扱所には、保安距離の確保が必要である。
(2)指定数量の倍数が40以上のものを第二種販売取扱所という。
(3)液体の危険物は容器入りのままで販売しなければならないが、固体の危険物は、小分けして販売できる。
(4)第二種販売取扱所では、第四類危険物以外の危険物を取り扱うことはできない。
(5)指定数量の倍数が15以下のものを第一種販売取扱所という。

問題4 危険物取扱者免状に関する手続きについて、次のうち誤っているものはどれか。

(1)危険物取扱者試験に合格した者に、都道府県知事が免状を交付する。
(2)免状の再交付は、全国どこの都道府県知事にも申請することができる。
(3)免状を亡失して再交付を受けたものは、亡失した免状を発見した場合、10日以内に再交付を受けた都道府県知事に亡失した免状を提出しなければならない。
(4)免状の記載事項に変更が生じたとき、又は写真が10年経過したとき、
都道府県知事に書換えを申請しなければならない。
(5)免状の書換は、免状を交付した都道府県知事又は居住地若しくは勤務地を管轄する都道府県知事に申請しなければならない。

問題5 同一の貯蔵所で、ガソリン100リットルと同時に貯蔵する場合、総量が指定数量未満とみなされるのは、次のうちどれか。

(1)軽油:800リットル
(2)オリーブ油:3,000リットル
(3)灯油:700リットル  
(4)エチルアルコ-ル:200リットル 
(5)重油:1,800リットル

問題6 移送取扱所の設置場所の可否について、次のうち誤っているものはどれか。

(1)河川区域及び水路敷には設置できない。
(2)利水上の水源である湖沼、貯水池等に設置できる。
(3)震災時のための避難空地には設置できない。
(4)地すべり防止区域には設置できない。
(5)鉄道及び道路の隧道内には設置できない。

問題7 屋外貯蔵所で貯蔵することができる第四類の危険物の組合せとして、次のうち正しいものはどれか。

(1)ジエチルエーテル、灯油、タービン油
(2)灯油、軽油、タ-ビン油
(3)ガソリン、灯油、タービン油
(4)ガソリン、重油、オリ-ブ油
(5)ガソリン、エチルアルコ-ル、ナタネ油

問題8 製造所等を設置した場合、その使用ができる時期として次のうち正しいものはどれか。

(1)設置許可を受けた後
(2)完成検査申請書を提出した後
(3)工事完了の届出をした後
(4)完成検査済証の交付を受けた後
(5)使用許可申請をした後

問題9 第四類危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合に必要な注意事項として、掲示板に表示しなければならない表示内容は、次のうちどれか。

(1)「火気注意」 
(2)「火気厳禁」 
(3)「給油中エンジン停止」
(4)「衝撃注意」
(5)「禁水」

問題10 消防本部及び消防署を置く市町村の区域に、給油取扱所を設置する場合の手続きの一部として、次のうち正しいものはどれか。

(1)その区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
(2)その区域を管轄する消防長又は消防署長の許可を受けなければならない。
(3)その区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。
(4)その区域を管轄する消防長又は消防署長に届け出なければならない。
(5)その区域を管轄する市町村長に届け出なければならない。

問題11 指定数量未満の危険物の貯蔵及び取扱いの技術上の基準を定めている法令等として、次のうち正しいものはどれか。

(1)市町村条例
(2)総務省告示
(3)経済産業省告示
(4)消防庁告示
(5)都道府県条例

問題12 危険物製造所を設置した場合に、受けなければならない完成検査について、次のうち正しいものはどれか。

(1)工事が短期間である場合に限り、完成検査は免除される。
(2)完成検査の申請は、工事着工と同時に行えば良い。
(3)完成検査は自主的な検査である。
(4)工事が完了し、使用を開始してから10日以内に完成検査を受ければ良い。
(5)設置後、完成検査の申請を行い、完成検査を受けなければならない。

問題13 製造所、貯蔵所又は取扱所の定期点検を自ら行うことができる者は、危険物取扱者以外に、次のうちどれか。

(1)当該製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者
(2)当該製造所、貯蔵所又は取扱所に勤務する者
(3)消防設備士
(4)危険物施設保安員
(5)消防設備点検資格者

問題14 移動タンク貯蔵所への危険物取扱者の同乗について、次のうち適当でないものはどれか。

(1)積載する危険物がガソリンであるため、丙種危険物取扱者が同乗した。
(2)積載する危険物が軽油であるため、甲種危険物取扱者が同乗した。
(3)積載する危険物がジエチルエーテルであるため、乙種第四類危険物取扱者が同乗した。
(4)積載する危険物がエチルアルコ-ルであるため、乙種第四類危険物取扱者が同乗した。
(5)積載する危険物が硫黄であるため、乙種第四類危険物取扱者が同乗した。

問題15 製造所、貯蔵所又は取扱所における危険物の貯蔵、取扱について、次のうち誤っているものはどれか。

(1)常に整理及び清掃を行うとともに、みだりに空箱その他の不必要な物件を置かないこと。
(2)危険物を貯蔵し、又は取り扱う建築物その他の工作物又は設備は、当該危険物の性質に応じ、遮光又は換気を行うこと。
(3)危険物のくず、かす等は、1週間に1回以上当該危険物の性質に応じて安全な場所で廃棄その他適当な処置をすること。
(4)製造所等においては、みだりに火気を使用しないこと。
(5)危険物を収納した容器を貯蔵し、又は取り扱う場合は、みだりに転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずる等粗暴な行為をしないこと。


2-基礎的な物理学及び基礎的な化学
問題16 液体に関する説明で、次のうち誤っているものはどれか。

(1)液体の蒸気圧は、液温が上昇するとともに高くなる。
(2)液体の蒸気圧が高いほど、高い温度で沸騰する。
(3)液体が気体に変化することを気化といい、固体が液体に変化することを液化という。
(4)液体の蒸気圧が大気圧以上になると、沸騰する。
(5)外気の圧力が低くなれば、液体の沸点も低くなる。

問題17 物質の状態変化と物質の温度との関係についての説明として、次のうち正しいものはどれか。

(1)固体が液体に変化するときには熱を吸収するため、物質の温度は上昇する。
(2)物質の状態が変化するときには吸収又は放出される熱は、その物質の温度変化となっては表れない。
(3)液体が気体に変化するときには熱を吸収するため、物質の温度は上昇する。
(4)液体が固体に変化するときには熱を放出するため、物質の温度は降下する。
(5)気体が液体に変化するときには熱を放出するため、物質の温度は降下する。

問題18 湿度に関する説明で、次のうち誤っているものはどれか。

(1)湿度には、相対湿度、絶対湿度、実効湿度等の表し方がある。
(2)気温が上昇すると、飽和水蒸気量の値も増加する。
(3)相対湿度の値は、空気中の水蒸気の量が変わらなくても、気温の変化によって変わる。
(4)空気中の水蒸気の量が、空気に最大限含みうる水蒸気量の何パーセントに相当するのかを数値に表わしたものである。
(5)実効湿度とは、空気中に含まれる水蒸気の量をグラム数で表したものをいう。

問題19 気体の性質に関する記述として、次のうち正しいものはどれか。

(1)気体の体積は、絶対温度に比例し、圧力に反比例する。
(2)気体の体積は、絶対温度に比例し、圧力に比例する。
(3)気体の体積は、絶対温度に反比例し、圧力に反比例する。
(4)気体の体積は、絶対温度に比例も反比例もせず、また、圧力に比例も反比例もしない。
(5)気体の体積は、絶対温度に反比例し、圧力に比例する。

問題20 火災発生の危険性が高いものであることの説明として、次のうち誤っているものはどれか。

(1)引火点が高いもの
(2)静電気を発生し、蓄積しやすいもの
(3)酸化されやすいもの
(4)可燃性蒸気を発生しやすいもの
(5)燃焼範囲が広いもの

問題21 静電気の発生や蓄積をより少なくする対策として、次のうち誤っているものはどれか。

(1)導電性の材料を使用する。
(2)配管で危険物を移送する場合には、流速を制限する。
(3)室内の湿度を低く保つ。
(4)設備等には接地(ア-ス)を施す。
(5)帯電防止服、帯電防止靴を着用する。

問題22 酸化と還元について、次のうち誤っているものはどれか。

(1)一般に物質が酸素と化合することを酸化という。
(2)一般に物質が水素と化合することを還元という。
(3)一般に酸化物が酸素を失うことを還元という。
(4)一般に水素化合物が水素を失うことを酸化という。
(5)一般に酸化と還元が同時に起こることはない。

問題23 油火災に水の使用は不適切であるが、その理由として次のうち正しいものはどれか。

(1)油が発熱して危険が増加するため。
(2)油が水に浮いて火面を広げるため。
(3)水の分解により、酸素と水素が発生するため。
(4)油の発火点を低下させることとなり、危険であるから。
(5)油の引火点を低下させることとなり、危険であるから。

問題24 ガソリンの燃焼についての説明として、次のうち正しいものはどれか。

(1)ガソリンの化学反応により発生したガスが燃焼する。
(2)ガソリンの蒸気は燃焼するが、ガソリン自体は燃焼しない。
(3)ガソリンに溶けているガソリンの蒸気が燃焼する。
(4)ガソリンの蒸気、ガソリン自体がともに燃焼する。
(5)ガソリンが加熱されて分解し、発生するガソリンの蒸気が燃焼する。

問題25 乙種第四類危険物取扱者が取り扱うことができる危険物のすべてに適応する第5種の消火設備は、次のうちどれか。

(1)霧状の水を放射する小型水消火器
(2)水バケツ又は水槽
(3)霧状の強化液を放射する小型消火器
(4)棒状の水を放射する小型水消火器
(5)棒状の強化液を放射する小型消火器

  3-危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
問題26 危険物の類ごとの性質として、次のうち誤っているものはどれか。

(1)第一類の危険物は、酸化性固体である。
(2)第二類の危険物は、可燃性固体である。
(3)第四類の危険物は、自然発火性物質である。
(4)第五類の危険物は、自己反応性物質である。
(5)第六類の危険物は、酸化性液体である。

問題27 第四類危険物の貯蔵及び取扱い上の注意事項として、次のうち必要でないものはどれか。

(1)加熱を避けること。
(2)容器に収納した場合には、空間容積をとること。
(3)みだりに蒸気を発生させないこと。
(4)炎や火花等、火気を接近させないこと。
(5)寒冷地では、液温の低下をさけること。

問題28 ガソリンの性質として、次のうち誤っているものはどれか。

(1)非常に揮発しやすい液体である。
(2)電気の不良導体であるため、静電気は発生しにくい。
(3)燃焼範囲の下限値は1.4vol%と低いため、わずかな空気との混合でも引火する。
(4)比重は0.65~0.75であり、水より軽い。
(5)蒸気比重は3~4と、空気よりもはるかに重い。

問題29 引火点が、常温(20℃)以上である危険物は、次のうちどれか。

(1)エチルアルコ-ル 
(2)ガソリン 
(3)ジエチルエーテル
(4)ベンゼン
(5)軽油

問題30 第四類危険物に対する消火の方法として、次のうち誤っているものはどれか。

(1)空気の遮断による方法(窒息消火)が適している。
(2)可燃物の除去や冷却による方法は困難を伴う。
(3)消火薬剤としては、霧状の強化液、泡、ハロゲン化物、二酸化炭素、粉末等がある。
(4)水による消火が最適である。
(5)水溶性液体の消火には、水溶性液体用泡消火薬剤(耐アルコール泡)を使用する。

問題31 灯油の性状等として、次のうち誤っているものはどれか。

(1)電気の良導体である。
(2)加熱等により液温が引火点以上になると、引火の危険性はガソリンと同様になる。
(3)石油スト-ブなどの燃料及び溶剤などに使用される。
(4)液比重は1より小さい。
(5)蒸気比重は空気よりも大きい。

問題32 アセトンの性状について、次のうち誤っているものはどれか。

(1)水には溶けない。
(2)揮発性が高い。
(3)油脂などをよく溶かすため、溶剤として使用される。
(4)比重は0.8で水より軽い。
(5)無色透明の液体で、特異臭がある。

問題33 重油の性質として、次のうち正しいものはどれか。

(1)燃焼温度が高いため、消火が困難である。
(2)引火点が低いので、常温(20℃)でも引火しやすい。
(3)水よりもはるかに重い。
(4)水には溶けにくいが、温水(45℃以上)にはよく溶ける。
(5)無色透明である。

問題34 電気設備の火災に適応しない消火器は、次のうちどれか。

(1)小型二酸化炭素消火器 
(2)霧状放射の小型強化液消火器
(3)大型粉末(K)消火器 
(4)小型ハロゲン化物消火器
(5)大型化学泡消火器

問題35 次の危険物のうち、水よりも比重が大きいものはどれか。

(1)二硫化炭素
(2)ジエチルエーテル
(3)ガソリン
(4)トルエン
(5)エチルアルコ-ル

  1-危険物に関する法令
解答
問題1 (4)
問題2 (3)
問題3 (5)
問題4 (2)
問題5 (2)
問題6 (2)
問題7 (2)
問題8 (4)
問題9 (2)
問題10 (3)
問題11 (1)
問題12 (5)
問題13 (4)
問題14 (5)
問題15 (3)
  2-基礎的な物理学及び基礎的な化学
解答
問題16 (3)
問題17 (2)
問題18 (5)
問題19 (1)
問題20 (1)
問題21 (3)
問題22 (5)
問題23 (2)
問題24 (2)
問題25 (3)
  3-危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
解答
問題26 (3)
問題27 (5)
問題28 (2)
問題29 (5)
問題30 (4)
問題31 (1)
問題32 (1)
問題33 (1)
問題34 (5)
問題35 (1)
  (注)下記の【解説】で法令を引用している部分がありますが、要点のみを記載していますので、条文そのものとは記述が異なっている場合があります。
  1-危険物に関する法令
解説1 消防法では、「危険物とは、別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう。」と定義されている。
法第2条第7項

解説2 金属粉は、硫化リンや赤リンなどと共に第二類の可燃性固体に属し、消防法でいう危険物である。
消防法別表第一
なお、水素、一酸化炭素、窒素、アセチレンガス等のガスは危険物ではない。

解説3 販売取扱所は、店舗において容器入りのままで販売するため危険物を取り扱う取扱所で、指定数量の倍数が15以下のものを第一種販売取扱所といい、指定数量の倍数が15を超え40以下のものを第二種販売取扱所という。
危政令第3条第1項第2号

解説4 免状の交付を受けている者は、免状を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損した場合は、当該免状の交付又は書換えをした都道府県知事にその再交付を申請することができる。
危政令第35条第1項

解説5 ガソリンの指定数量は200リットルであるから、100リットルは指定数量の0.5倍である。これに、同時に貯蔵する他の品名のものの指定数量の倍数を加えたものが1未満であれば、総量が指定数量未満とみなされる。オリーブ油の指定数量は10,000リットルであり、3,000リットルは0.3倍である。

従って、ガソリンと同時に貯蔵する場合には下記のとおりとなる。
ガソリン0.5倍 + オリーブ油0.3倍 = 0.8倍
よって、(2)は指定数量未満となる。

解説6 利水上の水源である湖沼、貯水池等には設置できない。
危規則第28条の3

解説7 屋外貯蔵所については下記のとおり規定されている。
屋外の場所において、第二類の危険物のうち硫黄、硫黄のみを含有するもの若しくは引火性固体(引火点が0℃以上のものに限る。)又は第四類の危険物のうち第一石油類(引火点が0℃以上のものに限る。)、アルコール類、第二石油類、第三石油類、第四石油類若しくは動植物油類を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所を屋外貯蔵所という。
危政令第2条第7号
灯油   :第二石油類(引火点は40℃以上)
軽油   :第二石油類(引火点は45℃以上)
タ-ビン油:第四石油類(200℃以上250℃未満)
従って、第四類危険物のうち、選択肢(2)の灯油、軽油、タ-ビン油について貯蔵が可能である。

解説8 製造所等を設置しようとする者、又は製造所等の位置、構造又は設備を変更しようとする者は、市長村長等に申請して、許可を受けなければならない。
設置又は変更の工事が完了した時点で、完成検査を受け、技術上の基準に適合している場合には、完成検査済証が交付される。この後でなければ使用することができない。
法第11条第1項、第2項、第5項

解説9 貯蔵し、又は取り扱う危険物の類、品名等の掲示板のほか、下記に定める注意事項を表示した掲示板を設けなければならない。
危規則第18条

【第一類危険物】
アルカリ金属の過酸化物、又はこれを含有するもの
・・・禁水
【第二類危険物】
引火性固体を除くすべて・・・火気注意
引火性固体・・・火気厳禁
【第三類危険物】
カリウム、ナトリウム等禁水性物品・・・禁水
自然発火性物品・・・火気厳禁
アルキルアルミニウム、アルキルリチウム・・・禁水、火気厳禁
黄りん・・・火気厳禁
【第四類危険物】
すべて・・・火気厳禁
【第五類危険物】
すべて・・・火気厳禁

解説10 消防本部及び消防署を置く市町村の区域に、製造所、貯蔵所又は取扱所を設置しようとする者は、当該市町村長の許可を受けなければならない。
法第11条第1項第1号

解説11 指定数量未満の危険物及び指定可燃物その他指定可燃物に類する物品を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、市町村条例で定められている。
法第9条の4第2項

解説12 危険物施設の設置の許可を受けた者は、製造所、貯蔵所若しくは取扱所を設置したとき、又は製造所、貯蔵所若しくは取扱所の位置、構造若しくは設備を変更したときは、当該製造所、貯蔵所又は取扱所につき市長村長等が行う完成検査を受け、これらが、法で定める技術上の基準に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。
法第11条第5項

解説13 政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、これらの製造所、貯蔵所又は取扱所について定期に点検しなければならない。
法第14条の3の2
定期点検は1年に1回以上行わなければならない。
危規則第62条の4第1項
定期点検は、危険物取扱者又は危険物施設保安員が行わなければならない。
危規則第62条の6第1項

解説14 移動タンク貯蔵所による危険物の移送は、当該危険物を取り扱うことができる危険物取扱者を乗車させなければならない。
法第16条の2第1項
硫黄は第二類危険物であるため、甲種危険物取扱者または乙種第二類危険物取扱者の有資格者が同乗しなければならない。
危規則第49条

解説15 危険物のくず、かす等は、1日に1回以上当該危険物の性質に応じて安全な場所で廃棄その他適当な処置をすること。
危政令第24条第5号

  2-基礎的な物理学及び基礎的な化学
解説16 液体が気体に変化することを気化というが、固体が液体に変化することは融解といい、液化とはいわない。

解説17 物質の状態変化と熱の出入は下記のとおりである。
・固体が液体に変わるときは「融解熱」を吸収する。
・液体が気体に変わるときは「蒸発熱」を吸収する。
・気体が液体に変わるときは「凝縮熱」を放出する。
例えば、固体に熱を加えて液体に変化させる場合、固体が液体に変化している間は、液体そのものの温度は上昇しない。これは、融解時に加えられた熱エネルギーは、固体から液体への状態の変化に使われるためである。

解説18 実効湿度とは、火災予防の観点から、当日だけではなく数日前からの湿度を考慮に入れて計算した結果を数値に表わしたものである。

相対湿度とは、空気中に含まれる水蒸気の質量が、その温度における飽和水蒸気量の何%を占めるかを表わしたものである。

絶対湿度とは、単位体積当たりの空気中の水蒸気の質量をいい、通常は1立方メートルの乾燥空気中に含まれる水蒸気のグラム数で表わす。

解説19 一定質量の気体の体積は、絶対温度に比例し、圧力に反比例する。これをボイル・シャルルの法則という。
温度T1、圧力P1、体積V1である気体を、温度T2、圧力P2にしたとき、体積がV2になったとすると、
P1×V1/T1
=P2×V2/T2
( =一定 )
の関係が得られる。

解説20 火災発生の危険性が高いことの条件として、以下のようなものがある。
①引火点が低いもの
②静電気を発生し、蓄積しやすいもの
③酸化されやすいもの
④可燃性蒸気を発生しやすいもの
⑤燃焼範囲が広いもの
⑥酸素との接触面積が大きいもの
⑦発熱量(燃焼熱)が大きいもの
⑧熱伝導率が小さい(表面温度が高くなる)もの
⑨乾燥度が高い(含有水分が少ない)もの
⑩周囲の温度が高いもの

解説21 静電気の発生と蓄積を防止するためには、室内の湿度を上げて(約75%以上)、乾燥させないことが必要である。
室内の湿度を上げることで、帯電した静電気は、水蒸気を通して放電する。

解説22 (狭い意味の酸化と還元)
物質が酸素と化合することを酸化といい、酸化物が酸素を失うことを還元という。酸化と還元は、一般にひとつの反応で同時に起こる。このような反応を酸化還元反応という。

(広い意味の酸化と還元)
水素化合物が水素を失うこと、又は物質が電子を失うことも酸化といい、物質が水素と化合すること、又は物質が電子を受け取ることも還元という。

解説23 油は水よりも軽いため、油火災の消火にあたって水を使用すると、油が水に浮いて火面が広がり、火災危険が増加する。

解説24 ガソリンのような可燃性液体の燃焼は蒸発燃焼といい、液体そのものが燃えるのではなく、液面から蒸発した可燃性の蒸気が空気と混合して燃焼するものである。

解説25 第四類危険物に適用する第5種の消火設備は、次のとおりである。
①霧状の強化液を放射する小型消火器
②泡を放射する小型消火器
③二酸化炭素を放射する小型消火器
④ハロゲン化物を放射する小型消火器
⑤消火粉末を放射する小型消火器
⑥乾燥砂
⑦膨張ひる石又は膨張真珠岩

  3-危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
解説26 危険物の類ごとの性質は以下のとおりである。
①第一類の危険物は、酸化性固体である。
②第二類の危険物は、可燃性固体である。
③第三類の危険物は、自然発火性物質及び禁水性物質である。
④第四類の危険物は、引火性液体である。
⑤第五類の危険物は、自己反応性物質である。
⑥第六類の危険物は、酸化性液体である。

解説27 第四類危険物の貯蔵及び取扱い上の注意事項は下記のとおりである。
①液温の上昇は可燃性蒸気の発生を促すため、加熱を避けること。
②容器に収納した場合には、体膨張による容器内での圧力の増加から、容器が破損する可能性があるが、これらを防止するため、空間容積をとること。
③可燃性蒸気による引火の危険性が増大する上、蒸気は空気よりも重く、低所に流れて広がり易いため、みだりに蒸気を発生させないこと。
④引火の危険を避けるため、炎や火花等、火気を接近させないこと。

寒冷地だからといって、液温の低下が危険や障害の原因になることはない。

解説28 ガソリンの性質として以下のようなものがある。
①非常に揮発しやすい液体である。
②電気の不良導体であるため、静電気が発生しやすい。
③燃焼範囲の下限値は1.4vol%と低いため、わずかな空気との混合でも引火する。(ガソリンの燃焼範囲:1.4~7.6vol%)
④比重は0.65~0.75であり、水より軽い。
⑤蒸気比重は3~4と、空気よりもはるかに重い。

解説29 (1)エチルアルコ-ル:13℃
(2)ガソリン:-40℃以下 
(3)ジエチルエーテル:-45℃
(4)ベンゼン:-11℃
(5)軽油:45℃以上

解説30 比重が1よりも小さい危険物の火災に注水すると、危険物が水に浮いて火災範囲を広げるため、水による消火は適切ではない。

解説31 灯油は電気の不良導体であり、静電気が蓄積し易い。
この静電気が何らかの原因で空気中に放電されると、その電気エネルギーが着火源となって、引火性蒸気に引火し、火災の発生につながる危険性がある。

解説32 アセトンは水に良く溶け、また、アルコール、ジエチルエーテルなどにも溶ける。

解説33 重油の性質は下記のとおりである。
①発火点は250~380℃と高く、燃焼温度も高いため、一旦燃焼すると消火が困難である。
②引火点は60~150℃である。
③比重は0.9~1.0である。
④水には溶けず、又45℃程度の温水にも溶けない。
⑤褐色又は暗褐色である。

解説34 電気設備の火災に適応される消火器は下記のとおりである。
第4種又は第5種
・霧状の水を放射する消火器
・霧状の強化液を放射する消火器
・二酸化炭素を放射する消火器
・ハロゲン化物を放射する消火器
・消火粉末を放射する消火器

解説35 比重はそれぞれ下記のとおりである。

(1)二硫化炭素・・・・・・1.3
(2)ジエチルエーテル・・・0.7
(3)ガソリン・・・・・・・0.65~0.75
(4)トルエン・・・・・・・0.9
(5)エチルアルコ-ル・・・0.8